ミシン糸は何メートル・何本必要か
縫う直線の合計距離を入れると、必要な糸の合計メートル数と、スプール何本を買えばいいかを計算します。「生地の長さの何倍の糸を使うか」は機種や生地厚で変わるため断定せず、入力欄にしています。目安の初期値も、根拠と一緒に下で説明しています。
「生地の長さ = 糸の長さ」ではない理由
ミシンの本縫い(一般的なロック縫い)は、上糸と下糸の2本が布の中で絡み合うことで縫い目を作ります。1cm進むごとに、上糸は布の上下を行き来しながら送られ、下糸はボビンから繰り出されます。どちらの糸も、縫った距離そのものより長く消費されます。だから「10m縫うから糸も10mでいい」にはなりません。
さらに、返し縫い(縫い始めと縫い終わりの重ね縫い)、糸調子を合わせるための試し縫い、目飛びによる縫い直しでも糸は減っていきます。実際に使う糸の量は、縫う距離だけからは正確に決まりません。このツールでは、消費倍率と余裕率を分けて入力できるようにしています。
消費倍率は、断定せず入力式にしています
手芸の現場では「直線縫いなら生地の長さの3倍前後」といった目安がよく言われます。ただしこれは単一の規格や実験結果として定まった数値ではなく、機種・縫い目の長さ・押さえ圧・生地の厚みによって変わる経験則です。厚手を縫う、ジグザグ縫いを混ぜる、装飾ステッチを使う、といった条件では消費量はさらに増えます。
このサイトでは、根拠のはっきりしない数値を断定的な答えとして出すことはしません。初期値の3倍は「よく使われる目安の一例」として置いているだけで、下の実測方法で自分のミシン・生地に合わせた数値に置き換えることをおすすめします。
実測する方法(いちばん確実)
- 使うスプールの糸を巻き始めから使うか、糸巻き量が分かる状態にする 新品のスプールなら、パッケージに書かれた糸長がそのまま使えます。
- 実際に作るものと同じ生地・同じ設定で、決まった長さ(例:1m)を縫う 直線縫いだけでなく、実際に使う縫い目の種類(ジグザグなど)で試すと、より近い数値になります。
- 糸が減った量を測る スプールに残った糸の直径や重さの変化から見積もる方法のほか、糸巻き量が表示される機種ではそのまま読み取れます。簡易的には「使い切るまでに縫えた距離」から逆算する方法もあります。
- 「減った糸の長さ ÷ 縫った距離」を、上の消費倍率の欄に入れる これで、その生地・その設定に合わせた倍率になります。
試し縫いをしないまま本番に入る場合は、初期値の3倍を使いつつ、余裕(%)を多めに見ておくのが安全側です。厚手・重ね縫いが多い作品では20〜30%程度の余裕を入れておくと、縫っている途中で糸が切れる事態を避けやすくなります。
縫う直線の合計距離は、どう見積もるか
型紙や仕上がり寸法から、縫い合わせる辺の長さを足し合わせます。たとえば横40cm×縦30cmの袋を前後2枚を縫い合わせて作る場合、底と両脇を縫う長さは「横40cm+縦30cm×2=100cm」になります(マチや袋口の始末は別途足してください)。複数個を作るなら、その合計に個数を掛けます。
ジグザグ縫いで端の始末をする場合や、装飾ステッチを重ねる場合は、その分の距離も別に足してください。ジグザグは同じ距離でも針の左右移動が加わるため、直線縫いより糸を多く使う傾向があります(正確な倍率は機種や振り幅によるため、こちらも実測が確実です)。
上糸と下糸は、同じ糸で買っていいか
家庭用ミシンでは、上糸と同じスプールから下糸用のボビンに巻く使い方が一般的です。この場合、このツールで出した「必要な糸の合計」は、そのスプールから消費される総量とほぼ一致します。上糸と下糸で色や種類を分けたい場合(下糸に安価な糸を使うなど)は、合計のおよそ半分ずつを目安にそれぞれ用意してください(上の結果にも表示しています)。上糸と下糸の消費比率は縫い方によって多少前後しますが、大きくは変わらないため、半分ずつの見積もりで実用上問題ありません。
色を変える作品では、本数がかさむ
1着の中で表地・裏地・ステッチ色を変えると、その色ごとにこの計算をやり直すことになります。まとめて1色で計算した本数より、色数が増えるほど端数(使い切らない残り)も増えます。あらかじめ色数を減らせないか検討すると、糸の在庫も無駄になりにくくなります。