スカートの生地は何メートル必要か
スカートの型と、丈・ウエスト・ギャザーの倍率を入れてください。買う生地の長さを、生地幅ごとに出します。110cm幅と150cm幅で必要量がどう変わるか、柄合わせ(リピート)や一方向柄でどれだけ増えるかも同時に表示します。
「面積 ÷ 生地幅」では、なぜ足りないのか
必要な布の面積を出して生地幅で割る。一見すると正しそうですが、この計算はほぼ確実に足りません。布は自由な形に分けて使えないからです。
買った生地は「幅110cm × 長さ◯cm」という1枚の長方形です。そこからパーツを切り出していくと、幅の中に並びきらなかった隙間は、そのまま捨てる部分になります。0.4枚という単位は存在しません。
スカートではこれが特に効きます。ギャザースカートで必要な布の総幅は、ウエストの2〜3倍にもなります。ウエスト72cmで倍率2.5倍なら180cm。110cm幅の生地には、この180cmは一度に入りません。そこで生地を縦に分割し、脇で縫い合わせることになります。この「何枚に分けるか」が整数でしか動かないので、必要な長さも段階的にしか動きません。
このツールがやっている手順
ギャザーもタックもプリーツも、「ウエストより広い布を、ウエストの長さまで縮めて留める」という点は同じです。だからまず、必要な布の総幅を出します。台形・Aラインの場合は裾の周囲がこれにあたります。
総幅が生地の使える幅に入らなければ、縦に分割して脇で縫い合わせます。前と後ろに分かれるのが基本なので、最低でも2枚として計算しています。
丈は仕上がりの長さです。そのまま裁つと、裾を三つ折りした分だけ短くなります。ウエスト側も、ゴムを通す折り返しかベルトの縫い代が要ります。
段の高さは、その段でいちばん背の高いパーツで決まります。低いパーツを同じ段に入れても段は伸びません。だから背の高いものから並べると無駄が減ります。ウエストベルトのような細長いパーツが本体の横の空きに収まれば、その分の生地は要りません。
生地は10cm単位で切ってもらうのが一般的なので、最後に10cm単位へ切り上げています。「1.44m必要」ではなく「1.5m買う」まで出しているのはこのためです。
型によって、必要量はどう変わるか
同じ丈・同じウエストでも、型が変わると必要量は大きく変わります。効いてくるのは倍率です。
| 型 | 倍率の初期値 | 考え方 |
|---|---|---|
| ギャザー | 2.5 | 布を細かく寄せて集めます。2〜3倍が目安とされますが、これは決まりではありません。薄い生地は倍率を上げないとボリュームが出ず、厚い生地は上げるとウエストが分厚くなって収まりません |
| タック | 2.0 | 数か所を畳んで縫い留めます。ギャザーより落ち着いた形になり、必要な布も少なめです。タックの本数と深さで倍率は変わります |
| 台形・Aライン | 1.5 | 裾へ向かって広がる形です。倍率は裾の周囲がウエストの何倍かを表します。広がりを抑えるほど布は減ります |
| プリーツ | 3.0 | ひだを畳んで折り目をつけます。畳み方で必要量が決まります。ひだが重なる箱ひだや、全周に折り目をつける総ひだでは3倍前後になります |
初期値はあくまで出発点です。作りたい形と生地の厚みが決まっているなら、その値に書き換えてください。薄いローンやボイルで2倍にすると布が足りない印象になり、厚いリネンやコーデュロイで3倍にするとウエストにかさが集まります。手元に似た生地の端切れがあれば、ウエストのぶんだけ手で寄せてみると感覚がつかめます。
倍率が0.5変わると、どれだけ変わるか
ウエスト72cm・丈60cm・110cm幅・ロス率10%で、倍率だけを動かすとこうなります。上の入力欄で再現できます。
| 倍率 | 必要な総幅 | パネル枚数 | 買う長さ |
|---|---|---|---|
| 1.5 | 108 cm | 2 枚 | 1.5 m |
| 2.0 | 144 cm | 2 枚 | 1.5 m |
| 2.5 | 180 cm | 2 枚 | 1.5 m |
| 3.0 | 216 cm | 3 枚 | 2.3 m |
倍率1.5から2.5までは、買う長さが1cmも変わりません。どちらもパネル2枚で、パネル1枚は110cm幅に1枚しか並ばないからです。ところが3.0にした瞬間、パネルが3枚になり、段が1つ増えて0.8m跳ね上がります。
これが「面積で割る」計算では絶対に出ない結果です。倍率を2.5から2.4に落としても1円も安くなりませんが、3.0から2.5に落とすと0.8m分安くなります。予算に上限があるなら、この段差の手前に寄せるのが有効です。
110cm幅と150cm幅で、どちらが得か
幅が1.36倍になっても、必要な長さが1÷1.36になるわけではありません。幅に何枚並ぶか、パネルを何枚に分けるかが整数でしか動かないからです。
上の例(ウエスト72cm・倍率3.0・総幅216cm)で比べます。
| 生地幅 | 使える幅 | パネル枚数 | パネル1枚の裁ちきり横 | 買う長さ |
|---|---|---|---|---|
| 110cm | 108 cm | 3 枚 | 74 cm | 2.3 m |
| 150cm | 148 cm | 2 枚 | 110 cm | 1.5 m |
この寸法では、150cm幅にすると0.8m短くて済みます。広幅の生地は単価が高いことが多いので、長さ×単価で比べてください。0.8m分の差があれば、単価が5割高くても150cm幅のほうが安く上がる計算になります。
ただし逆転もあります。倍率2.5(総幅180cm)では、110cm幅も150cm幅もパネル2枚・買う長さ1.5mでまったく同じです。この場合は幅の広い生地を買っても長さは1cmも減らず、単価の差だけ損になります。「広い方が得」でも「狭い方が安い」でもありません。自分の寸法で逆転します。上の比較表で確かめてください。
たて地とよこ地は、どちらで裁つか
初期設定は「たて地」です。生地の長さ方向をスカートの丈に合わせる、いちばん一般的な裁ち方です。
丈が生地幅より短い場合、生地を90度回して「よこ地」で裁つと、買う長さが大幅に短くなることがあります。丈60cmのスカートなら110cm幅の中に丈がすっぽり入るので、理屈のうえでは総幅の分だけ買えば足ります。ただし、これは無条件におすすめできる方法ではありません。
- 伸び方が変わります。織物はたて糸方向とよこ糸方向で伸び方が違い、ふつうはよこ方向のほうがよく伸びます。よこ地で裁つと、丈の方向に伸びやすいスカートになります
- 落ち感(ドレープ)が変わります。同じ生地でも、向きを変えるとひだの出方が変わります
- 柄の向きが変わります。一方向柄では使えません。チェックやストライプも、縦線が横線になります
- 耳が裾側に来ます。耳をそのまま裾の始末に使えるという利点もあります
薄手のコットンで作るギャザースカートのように、伸びやドレープが問題になりにくい場合は、よこ地裁ちで生地代を大きく減らせます。「おまかせ」を選ぶと、短いほうの向きを自動で選びます。一方向柄にチェックを入れると、たて地に固定されます。
柄合わせが要る生地は、なぜ多く要るのか
大きな柄が一定の間隔で繰り返す生地では、パーツごとに柄の位置がそろっていないと、脇の縫い目で柄が食い違います。スカートは脇線が体の真横に来るので、ずれが特に目立ちます。チェックやボーダーなら一目で分かります。
これを防ぐには、各パネルを柄の同じ位置から裁つ必要があります。そのためには、段の高さを柄のリピートの整数倍に切り上げます。
たとえば裁ちきり高さ68cmのパネルを、リピート15cmの生地で裁つ場合。68 ÷ 15 = 4.53 なので5リピート分、つまり75cm使うことになります。7cmは柄を合わせるためだけに捨てる部分です。段が2つあれば14cm、3つなら21cm増えます。
上の入力欄でリピートを0と実測値で切り替えると、その差がそのまま出ます。リピートの測り方や、どこまで合わせれば十分かは別の記事にまとめました。
生地のほかに、別途要るもの
計算結果には表地・裏地・ゴムしか出ていません。次のものは別に買う必要があります。買い忘れると当日手が止まります。
- ウエストベルト — 共布で作る場合は上のリストに含まれています。市販のベルト芯や、ゴムベルト(幅3〜4cmの平ゴム)を使う場合は別途です。ウエスト寸法ぶん+余裕を見て買ってください
- 平ゴム — ゴム通しにする場合。ウエストの実寸そのままではゆるいことが多く、実際は少し詰めて使います。長めに買って、試着しながら決めるのが確実です。ゴムの幅は、ウエストの折り返し寸法より1cm以上狭いものを選んでください
- 裏地 — 上のチェックを入れると計算に入ります。薄い生地や白っぽい生地では透けるので要ります。裏地は表地より数cm短く作るのがふつうですが、この計算では表地と同じ寸法(安全側)で出しています
- ファスナー・ボタン・フック — ゴムではなく開閉させる作りの場合。スカート用のコンシールファスナーは20〜22cm前後がよく使われます
- 接着芯 — ウエストベルトを共布で作るなら、ベルトの裏に貼ると形が保てます。ベルトの裁ちきり寸法ぶんだけ要ります
- ミシン糸 — 生地の色に近いものを。スカートは縫う距離が長いので、小巻だと途中で切れることがあります
この計算が安全側に出ている点、そうでない点
数字をそのまま信じる前に、次の点を知っておいてください。
- 安全側(多めに出る) — 台形・Aラインを長方形から裁つ前提で計算しています。実際は脇の三角が端材になるので、型紙どおりに配置すればこれより少なく済むことがあります。裏地も表地と同じ寸法で出しています
- 安全側 — 本体を最低2枚のパネルに分けています。「わ」で裁つ作り方や、生地を輪にして1枚で裁つ作り方なら、これより少なく済みます
- 足りなくなりうる点 — ポケット、ベルトループ、見返し、あて布は計算に入っていません。これらを付けるなら、別途10〜30cm見てください
- 足りなくなりうる点 — ロス率の初期値は10%です。綿や麻の濃い色、水通しをしていない生地では、これでは足りないことがあります。心配なら15%にしてください
作りはじめる前に
生地の量が決まったら、次はどのミシンで縫うかです。スカートは長い直線を大量に縫うので、まっすぐ進むこと、ゆっくり縫えることが効いてきます。ギャザーを寄せる作業では縫い目の長さを変える必要があり、裾は生地が2〜3枚重なった状態を長く縫うことになります。