柄合わせ(リピート)で、生地は何cm余分に要るか

用尺の早見表やブログの数字をそのまま持って生地屋へ行くと、柄のある生地では足りなくなることがあります。早見表は無地を前提に作られていて、柄を合わせるために捨てる部分が数に入っていないからです。ここでは、なぜ余分に要るのか、どれくらい増えるのかを、計算式と具体例で説明します。

先に結論

リピートとは何か

プリント生地の柄は、版を送りながら繰り返し刷られています。同じ柄がもう一度現れるまでの間隔が「リピート」です。単位はcmで表されます。

リピートには方向が2つあります。

チェックやストライプのように規則が読みやすい柄なら、定規で1回分の間隔を測ればそれがリピートです。動物や花が散っている柄は、同じ向きの同じ絵柄を2つ見つけて、その間を測るのが確実です。似ているけれど微妙に違う絵柄が混ざっていることが多いので、輪郭までよく見比べてください。

ヨコのリピート タテのリピート
同じ柄がもう一度現れるまでの間隔がリピートです。買う長さに効くのは、生地の長さ方向(タテ)のリピートです。

なぜ余分に必要になるのか

バッグでもスカートでも、作るものは複数のパーツからできています。前と後ろ、切り替えの上と下、といった具合です。これらのパーツは縫い合わされて、縫い目をまたいで柄が続いているように見せたい場面があります。

ところが生地から適当に切り出すと、パーツごとに柄のどこを切り取ったかがバラバラになります。前面は花の真ん中から始まり、後面は茎の途中から始まる。縫い合わせると、脇の線で柄が段違いになります。チェックやボーダーだと、横線の高さがずれているのが一目で分かります。

これを防ぐには、各パーツを柄の同じ位置から裁ち始めるしかありません。つまり、裁ち始めの位置をリピートの区切りにそろえる。そうすると、パーツとパーツの間に必ず端数が生まれます。

実際に使う段の高さ = 切り上げ(パーツの裁ちきり高さ ÷ リピート)× リピート

たとえば裁ちきり高さ40cmのパーツを、リピート12cmの生地で裁つとします。40 ÷ 12 = 3.33 なので、4リピート分=48cmを使うことになります。差の8cmは、柄を合わせるためだけに捨てる部分です。パーツを並べる段が2つあれば、捨てる分も2倍になります。

増え方は、リピートに比例しない

ここが誤解されやすいところです。「リピートが大きいほど余分に要る」のは傾向としては正しいのですが、比例はしません。裁ちきり高さがリピートでちょうど割り切れるときは、1cmも増えないからです。

裁ちきり高さ40cmのパーツを、2段に並べて裁つ場合で比べます。

リピート1段に使う高さ2段の合計無地との差
なし(無地)40 cm80 cm
8 cm40 cm80 cm± 0 cm
12 cm48 cm96 cm+16 cm
20 cm40 cm80 cm± 0 cm
24 cm48 cm96 cm+16 cm
32 cm64 cm128 cm+48 cm

リピート8cmと20cmは40cmを割り切るので、余分は発生しません。ところが32cmになると、40cmのために64cm使うことになり、2段で48cm=約0.5m増えます。生地1mが650円前後だとすれば、これは無視できる差ではありません。

この表から言えることは1つです。「大柄だから2割増しで買っておこう」といった目安では当たりません。自分の作るものの裁ちきり寸法と、その生地のリピートで計算するしかありません。

一方向柄は、さらに増える

乗り物・動物・文字・木や花のように、上下の向きが決まっている柄を一方向柄(片面柄)と呼びます。この生地には、リピートとは別の制約がかかります。

向きの決まっていない生地なら、パーツを90度回して並べるという逃げ道があります。縦長のパーツを寝かせて生地の幅方向に並べれば、買う長さが短くて済むことがあります。一方向柄では、この逃げ道が使えません。横向きに走る車の袋になってしまうからです。

さらに、袋の前面と後面で柄が上下逆さまになるのも避けたい場合が多いので、「わ」で1枚に裁つ作り方が使えず、前後を別々に裁って縫い合わせることになります。ここでもう一段、必要量が増えます。

買う前に、柄の向きを確認してください ネット通販の商品写真は、柄の上下が分かるように撮られているとは限りません。畳まれた状態や斜めから撮った写真では判断できないこともあります。説明文に「一方向柄」「上下のある柄」と書かれていないか、レビューに向きの言及がないかを見てください。判断できないときは、一方向柄として計算しておくのが安全側です。

大柄ほど影響が大きい。無地なら気にしなくていい

柄合わせが問題になるかどうかは、リピートの大きさと、作るものの大きさの関係で決まります。

生地柄合わせ考え方
無地・杢・ムラ染め不要合わせる柄がありません。ロス率だけ見ておけば足ります
ごく細かい総柄(1〜3cm程度の小花・ドット)ほぼ不要ずれても目で追えません。実務上は無地と同じ扱いで構いません
細かいチェック・細ストライプできれば線が細くても、脇の線で段違いになると意外と目につきます。余裕があれば合わせます
大きいチェック・太ボーダー必要ずれが最も分かりやすい柄です。ここは計算に入れてください
大柄プリント(絵柄が10cm以上)必要顔が切れる、絵が途中で終わるといった失敗が起きます
一方向柄必要+向きの制約90度回して裁てないぶん、さらに増えます

言い方を変えると、初心者が最初に買いがちな「かわいい大柄プリント」が、いちばん生地を食うということです。予算を抑えたいのなら、無地か小さい総柄を選ぶだけで必要量が減ります。

どこで柄を合わせるか(全部は合わせなくていい)

「柄合わせ」と聞くと、すべての縫い目で柄が完璧に続いている状態を思い浮かべるかもしれません。実際には、そこまでやる必要はありません。目に入る場所と入らない場所があるからです。

  1. 袋やスカートの前と後ろ(脇の線) 最優先。人が真横から見たときに、線が段違いになっているのが分かる場所です。チェック・ボーダーならここだけは合わせたいところです。
  2. 切り替えの境目 上下で生地が分かれている作りでは、境目で柄が途切れます。ここは「合わせる」というより「境目に柄の中心が来ないようにずらす」だけでも見え方が変わります。
  3. 袋の口(入れ口の縁) 折り返して縫うので、柄の切れ方がそのまま縁の見た目になります。動物や顔のある柄で、ここに首から上だけが残ると気になります。
  4. 正面の中心(見せ場) 大柄の場合、絵柄の中心をパーツの中心に置くかどうかで印象が変わります。柄を「合わせる」のではなく「配置する」作業ですが、生地の使い方としては同じ切り上げが要ります。
  5. 底・内側・裏地・小さいパーツ 合わせなくて構いません。底面は床に接する面ですし、裏地は無地を使うのが一般的です。ここまで合わせようとすると必要量が跳ね上がります。

現実的な落としどころは、「外から見える面で、線が段違いにならないようにする」だけです。そのうえで、絵柄の顔や乗り物が切れていないかを見ておけば十分です。これで必要量は最小限に抑えられます。

商品ページのどこにリピートが書かれているか

ネットで生地を買うとき、リピートは次のあたりに書かれていることがあります。

ただし、記載がないことのほうが多いのが実情です。とくに個人経営の生地店や、まとめ買い向けのカット売りでは書かれていません。書かれていない場合はこうしてください。

店頭で買う場合は、その場で測らせてもらうのが確実です。カットしてもらう前に測れば、必要量を出してから買えます。

必要量の計算は、ツールで出せます

このサイトの計算ツールは、パーツを生地幅の中に段ごとに詰めていき、その段の高さをリピートの倍数に切り上げるという手順で必要量を出しています。上で説明した切り上げが、そのまま計算に入っています。リピートの欄に0を入れたときと実測値を入れたときで、必要量がどう変わるかもその場で見比べられます。

柄合わせと、水通しの縮み

もう1つ、柄物で見落とされがちな点があります。水通しをすると生地は縮みますが、縮み方はタテとヨコで違います。綿はふつうタテ方向のほうがよく縮みます。

つまり、買ったときのリピートと、水通し後のリピートは同じではありません。柄合わせのために測るなら、水通しをしてから測るのが正確です。ツールのロス率は、この縮みと裁ち誤差をまとめて見るための余裕分です。柄物で大きいものを作るなら、初期値の10%より多めに見ておくと安全側になります。

ミシンをこれから買う場合 柄合わせをすると、パーツどうしを正確に重ねて縫う場面が増えます。針の落ちる位置が見やすいこと、ゆっくり縫えること(速度調節)、押さえが厚みに負けないことが効いてきます。 入園グッズを作るためのミシンの選び方(初心者向け)
ご利用にあたって 本記事および本サイトの計算結果は参考値です。裁ちきり寸法の取り方は作り方や型紙によって異なり、生地の幅・柄のリピート・水通しによる縮み方も商品ごとに違います。 必ずお手持ちの型紙・作り方の裁ちきり寸法と、購入する生地の実際の幅・リピートを現物でご確認のうえ、余裕を持った数量でご購入ください。 園や学校から持ち物の指定(寸法・素材・柄の可否)が出ている場合は、その指示を優先してください。 本サイトは、本記事の内容および本サイトの利用によって生じたいかなる損害についても責任を負いません。